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2015-09-18【10代へ贈る】
欠席の理由
学校はあまり好きではありませんでした。
・・・正確に言うと、違うかもしれません。事実、机に向かうことは嫌いではありませんでしたから。暗記ものも理論的なものも、なんでも来いです。
正確に言うと、みんなが学校にいる時間(現実)に、違う場所(非現実)にいることが好きだったのかもしれません。
朝、目が覚めてぼんやりと思うのです「・・今日は、行かない・・」
まず、お母さんに「学校に連絡して」とお願いします。
「頭が痛い」「お腹が痛い」「気持ち悪い」・・・勉強机のライトに体温計を近づけて36.9度位にして提出するのも効果的ですね。
やり過ぎは禁物です。あくまでも“体調が悪い”というレベルですから、病院に行かなくてはいけないような症状ではなく、ポイントは、病気の兆候を示すことです。
とにかくなんとかして、ベッドの中の定位置を死守します。
そして部屋の北側にある小さな窓を開けて網戸とレースカーテンだけにします。
ぬくぬくのお布団の中から、顔とほんの少しだけつま先を出して、小さな窓から入ってくる肌寒い風に当たりながら、すがすがしい、清々した気持ちにとっぷりと浸ります。
窓の外からは、シャーっという自転車の車輪の音や女の子たちの話声、登校時間のざわつきが雰囲気ごと入ってきて、私の部屋は特別な空間になるのです。現実でも非現実でもない狭間に。
人間の体は、神が創りたもうたもの、本当によく出来ていると惚れ惚れします。
システマティックでとても手が掛かる。
体調が悪くても、お昼前にはちゃんと目が覚めるのですから。
もうその頃にはすでに“病気の兆候”はどこかに飛んで行ってしまっているはずです。
もそもそとベッドから出てリビングに行くと、その日学校に行くはずであった私の為にお母さんが作ってくれたお弁当がテーブルの上に。
蓋を開けると、塩昆布がほどよく溶けてごはんが茶色になっています。
赤ちゃんの頃から食の細い私のため、小さなお弁当箱になるべく色々な種類のおかずが入るようにと苦心してくれた、常温に冷めた、お母さんのあったかいお弁当を、お母さんと一緒に食べるのです。
私には、この魅力的な時間を諦めることなんで出来ませんでした。
10代という時間は瑞々しくてとても脆い、だからこそ魅力的で貴重な時間です。
学校で同年代の人々と信頼関係を築き生活を共にしていくことで得られる経験は、何度も出来るものではないのですから。
ただその渦中にいると、そのことが見えなくなることもあるかもしれません。
学校では得られないこと、欠席するからこそ分かることもあります。
その繊細で特別な経験のほうこそ、むしろ人間的な成長においては大切なことだったりする場合もあるのだとも思うのです。
丸山 美幸
2015年 産業カウンセラー資格取得
メールカウンセラー
夢分析セラピスト
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