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カウンセラーコラム
2016-03-25【恋愛】
第1回新恋愛心理学-恋愛を科学する-
このコラムは以前執筆したものを再掲しております。
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【恋愛を科学する】
恋愛を科学する、などと書くと
「恋愛は、お互いの気持ちの問題で、科学するなんてできないのではないのか」とか
「そもそも人の感情を科学するなどと言うのは、科学への冒涜だし、人の気持ちへの冒涜だ」
などと仰るかたがたくさん居ます。
はいはい、ごもっともです。
自分の感性で恋愛が成就する方は、自分のやり方を通せばいいのです。
うまくいってることは、変えない。
これ、心理学の鉄則。
けれど、世の中には、ことごとく恋愛に破れ、三十路を過ぎ、四十路も間近という方々も少なくない。
若くても恋愛に悩んでいる人はたくさん居ます。
そういう方にこのブログを読んでほしいのです。
うまくいっている方は、ここから先読まなくてもいいです。
恋愛を科学するとは、たとえば・・
・相手に振られた時、「いま、いったい何が起こっているのか」を知ることであったり、
・大好きな彼女(彼氏)が今日はなんだか不機嫌なとき、どう対応すべきか。
・告白をしようとするとき、怖気づいたり、不安になったり、とにかくいつもの自分でいられなくて困ってしまうときどうするか。
などの「はてな?」に答えを与えることです。
【はじめに】
巷では、心理学やカウンセリングの技法を恋愛に活かすハウツー本がたくさんありますが、
実際には、うまくいく人は、そんなもの読まなくてもうまくいくし
うまくいかない人は、なにをどうやってもうまくいかない。
なので、うまくいかない人は、次々と新しい方法に飛びつくはめになる。
こういうのを「時間の構造化」といいます。
人間は、知識と実践によって「智恵」を獲得していきます。
心理学は、単なる知識体系ではなくて、実践をも包括した智恵の宝庫と言えるでしょう。
そして、心理カウンセラーは、学者ではなく実務家です。
クライアントに知識の提供をすることもありますが、その際には必ず実践的な宿題がセットされてくるはずです。
(まぁ、一部の流派では、カウンセラー側からの積極的な交流を良しとしないところもありますが)
これから週に1本のペースで書いていこうと思いますが、できるだけ実践しやすいように
納得のいく知識を織り交ぜながら進めていきます。
また、読者の皆さんからの「こんな場合はどうすればいいの?」的なコメントにも積極的にお答えしていこうと思っています。
できれば、読者の皆さんと交流しながら作り上げていければいいなと思っております。
【人は、なぜ『恋する』のか】
大学で発達心理学を真面目に勉強した人ならもうすでに知っていることなのですが、
人は、生後1年くらいまでは、自分と自分以外の区別がついていない。
というか目に見える周りの世界全てが、「自分」なのです。
「はぁ?なんじゃそりゃ?」
と思われるかもしれませんが、赤ん坊は自分が空腹だと世界が空腹だと思うし、母親が動くと自分も動いていると思うのです。(発達心理学的には常識です)
つまり、まだ自我が確立されていないので「自分」と「他者」との区別がついていないわけです。
だから自分が思えば、その通りに世界が変化すると思っています。
こういうのを「幼児性万能感」といいます。
なんでも自分の思い通りになる世界は、気持ちいいでしょうねぇ。
他人(ここでは主に母親)をも思い通りに動かせる(と思っている)なんて、ある意味理想郷です。
しかも当然のごとく他者から深く愛されている。
で、2歳くらいになると、自分の腕は自分の意思で動くけど、世界は自分の思い通りに動かないこともあるということが、うすうす分かるようになります。
けれど「幼児性万能感」もバリバリ残っていますので、無理やり思い通りにしようとします。
この頃「怒り」という感情が発達してきます。
俗に「二歳児は暴君」といわれる所以です。
ここは、発達心理学の話をするところではないので、はしょりますが、
人は成長するにつれて、徐々に自分と他者との境界を意識し始めます。
これを自我境界と呼びます。
はじめは、身体的な自我境界を意識し、次いで心的な自我境界を意識し始めます。
心的な自我境界。
つまりアイデンティティのことです。
アイデンティティが確立すると、自分らしさ、個性、というものを手に入れます。
それと同時に「孤独」という感情も芽生えてきます。
自分と他者を区別するのが(ちょっと乱暴な言い方ですが)自我境界の役目なので
自我境界が発達すれば、ひとりぼっちになることもあり得る覚悟が必要になります。
大勢の中に居ても心的に他者と融合できないと我々は「孤独」を感じます。
「孤独」は、かつて感じていた「幼児性万能感」とは全く真逆の位置にあります。
もうあの甘美で魅力的な万能感にひたれないのか、と思うと奇妙な郷愁が心をよぎる事もあるでしょう。
アイデンティティを手に入れ、自分らしさを表現する喜びを知っても、たまには、あの甘美な郷愁に
ひたりたいと思うのは当然かもしれません。
他の誰かと心を融合し、なにもかもを共有したいと思ってもなんら不思議ではないでしょう。
それを可能にするのが「恋する」ことなのです。
っていうことは「恋する」ことは、退行現象ともいえますね。
「恋する」ことは、肉体の檻を破って心を解放することであり、無条件で自分を受け入れてくれる誰かとの心の融合でもあるわけです。
しかしながら「恋する」ことが退行現象であるなら、一時の夢物語であることは仕方のないことでしょう。
恋愛が恋愛のまま永遠に続かないのは、経験上よく知っています。
形をかえてある特定の誰かと交流を持ち続けることはできますが、恋愛状態のままずっと続くことはありません。
はじめは、相手の好みが自分の好みでもあったし、世間が何と言おうとアバタもエクボだったし、見つめ合う目と目で会話ができていると思い込めた。・・はずです。
でも、すこしずつほころびはじめるのです。
彼はセックスしたいけど、彼女はしたくない。
彼女はレストランで食事したいけど、彼は居酒屋で一杯飲みたい。
彼はJリーグの応援に行きたいけど、彼女は映画を見に行きたい。
などなど。
すこしのほころびが徐々に大きな溝になったりもする。
なぜこんな変化が起こるのか。
理由は以下の通りです。
1.恋愛に対する誤解がある。(恋愛が愛情表現のひとつだと思っている)
2.「恋する」ことには、少なからず「依存」が絡まっている。
3.無意識からのメッセージをほとんど無視している。
まぁ、こんなところでしょうか。
今後、上記の3つについては、ここで解説していこうと思っております。
とりあえず、次回は「恋愛に対する誤解」をテーマにしますね。
では、来週をお楽しみに。
芳野 正彦
日本嗜癖行動学会正会員
米国アライアント大学大学院精神病理学履修
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