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2016-04-02【恋愛】
第2回新恋愛心理学-恋愛に対する誤解-
【恋愛に対する誤解】
恋愛に対する誤解で一番多いのは、恋愛が「愛」の一部であるという思い込みです。
「えええ!!!でも、恋をしているとき、愛を感じるよ」
そうそう、それそれ。
それこそが、誤解。誤謬。錯誤。
前回「恋することは、退行現象」と書きました。
自我境界が一時的に崩壊し、互いに融合し、なんでもわかりあえるような錯覚に陥るのが「恋」。
やがて自我境界は、元通りになろうとしますから「冷める」ことになるわけです。
ひと夏の恋などは、この典型と言ってよいでしょう。
海で出会った彼はとても素敵だったのに、後日都会で会うとなんともいえずダサイことってよくあることです。
恋愛の途中で「彼(彼女)に愛を感じる」というのは、全くの錯誤で、
単に「わかってほしい」「わかってもらえた」という自分勝手な思い込みが瞬間的に実現したことによる心の絶頂感、満足感、全能感のなせるわざなのです。
「じゃあ、恋なんかしないほうがいいの?」
いえいえ、いままで書いたのは、多くの人が陥る恋の仕方を説明したもので、上手な恋の仕方も存在するのです。
「上手な恋の仕方」は、後日お話しますね。
もう少しだけ「自分の現状」を知るため、恋の落し穴にお付き合いください。
【恋愛と洗脳】
恋愛のハウツー本で、「好きな相手を落とすテクニック」みたいなものがありますが、
あれは最悪です。
あれは、自分は安全なところに居て、相手を小手先でコントロールしようというものです。
いわば、「洗脳」に近いですね。
洗脳は可能ですが(もちろん推奨しません)相手を思い通りにするような暗示は、最終的にその相手との関係を壊してしまいます。
やってはいけません。
たとえば、相手に「わたしと付き合うとお得だよ」というニンジンをぶらさげて洗脳するのが簡単なやり方です。
「えええ!そんなんで、だまされるわけ?」
そう思うでしょ。洗脳は単純なほうがかかりやすい。
「お得だよ」というところがミソです。
こういうのを難しい言葉でいうと「利得」といいます。
人間は、自分にメリットがあるなら病気にだってなる生き物です。
(こういうのを疾病利得といいます)
きっかけさえ与えてあげれば、自分の脳をだますくらいは、簡単にやります。
「恋の洗脳」でよく使うニンジンは、
お金、車、豪邸、地位、名誉、将来の夢、幸せ、一体感、征服感、などなど。
これらのアイテムを専門用語で、「シンボル」と言います。
(ちゃんと名前がついています)
シンボルには、人はコロッとだまされます。
この人と付き合うと
・軽井沢の豪華別荘に遊びに行ける、
・デートのときは、高級スポーツカーで送り迎えしてくれる、
・「僕の夢を実現するために、君が必要なんだ。一緒に夢を実現しよう」と囁いてくれる、
・「あなたについていきます。どこまでも」とチワワのような瞳でアイコンタクトしてくる。
こういうのに弱い人は、自分の中のなんらかの「利得」に気づいておくべきですね。
自分にはどういう「ニーズ」があるのか、どのような「コンプレックス」があるのか、
知っておいた方が、「上手な恋の仕方」に役立ちます。
シンボルにだまされやすいのは、シンボルを目の前にだされると人は勝手に、あるいは自動的にそのシンボルについてくるであろう「体験」を想像してしまうからです。
たとえば、高級スポーツカーの助手席は、「優越感」「セレブ感」満載だと勝手に思うわけです。
豪邸に住むと、あたたかい家庭が自動的についてくると錯覚するわけです。
チワワのような瞳でウルウルされると「こいつを守ってやらなきゃ」という使命感が湧いてきちゃうのです。
その勝手な「体験」は、相手が言葉で言っていないので、あたかも自分の心の底から湧き出たオリジナルの感情だと錯覚するわけです。
自分の中で思ったことだから自分の意思で「この人と付き合う」ことを選んだ、選択した、と思ってしまうわけですね。
もちろん、相手を落とすためにテクニックを駆使してくる人は少ないでしょうが、
本気であなたのことを好きだという人は、シンボルをちらつかせることなく
いきなり「体験」を味わわせてくれます。
たとえ高級車はなくとも、豪邸はなくとも、甘い言葉はなくとも
この人と話していると「なんだか心が落ち着く」とか「勇気が湧いてくる」とか。
でもまぁ、そういう人と出会うには、たくさん恋をして失敗して人を見る目を養うか、
ここで心理学をちょこっと身に着けるかのどっちかですね。
オススメは、心理学をちょこっと身に着けて、恋愛を実践する、ことですね。
さて、今回は、身もふたもないようなお話でしたが、次回はもっとすさまじいお話をします。
「依存と恋愛の関係」についてです。
こんな人居るの?というお話のあとに「上手な恋の仕方」を展開していきますので、
それまで耐えてください。
たぶんあと何回かは、ネガティブな話題が続きますが、そのあとは、希望のもてる話題になります。
では、次回はまた来週。
芳野 正彦
日本嗜癖行動学会正会員
米国アライアント大学大学院精神病理学履修
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