カウンセラーコラム

2016-06-03【家族】

お母さん、なんで?
いつもの朝、保育園へ向かう車の中で始まった。
「あれは何?」
「アンテナじゃないかな」
「なんであそこに三角があるの?」
「三角の形が具合がいいんじゃない」
「あれはどうやって作るの?」
「素材は、鉄とかステンじゃない」
「なんでアンテナが要るの?」
「電波をキャッチするんだよ」
「電波って何?」
「情報だよ」
「何の情報?」
「その会社が必要な情報」
「なんで情報が必要なの?」
「お仕事で必要だから」
「何のお仕事?」
「・・・・・・」
「ねぇ何のお仕事??」
「ねぇ本当にそれ知りたいの?」
「・・・・」
「ねぇ、訊いててるでしょ。答えなさい。一体何が知りたいわけ?教えてあげようか?何なら保育園に行くのやめて、今からあの会社に訊きに行く?」

運転の苦手な私は、運転にも会話にもなかなか集中できずイライラし始め、つい口調がきつくなる。
何も答えず黙ってしまった息子に、答えを催促する。
「黙ってないで答えてよ。なんでいつもお母さんに何で何でって訊くのにお母さんが何でって訊いても答えないの?ねぇ何でよ! 何が知りたいの?」
「何も知りたくない・・」
「じゃぁどうして何で何でって何回も言ってるの?」
「・・・お母さんの話しをもっと聞きたいの!」
 
はっとした。
この子は答えを求めていたのではなく、私と会話をしたかったのだ。
心の中では、(あぁぁごめんねぇ)とハグしてよしよししたかったけれど、運転中だったのと、ついきつくなってしまった口調を上手く切り替えられず、
「分かった。じゃぁ何の話しをする?」
「う~んとねぇ、保育園のお話し!」
「OK、じゃぁ保育園のお話しをしながら保育園に行こう」
「やった~」
ちょっと照れくさくてぎこちなかった。

保育園への送りから帰ると母に電話をした。
私はよく母に電話をする。
18歳で実家を出て一人暮らしを始めてからずっと。
何も話さないよりは、良い事も悪い事も全部話そうと決めたから。
母はそんな私をきちんと受け止めてくれた。

車中での息子とのやりとりを母に話しながら思った。
そうか、私もお母さんと話したいんだ。

良い子に育ってるじゃん、私たち。
ちょっと嬉しくなった。
2015年 産業カウンセラー資格取得
メールカウンセラー
夢分析セラピスト