カウンセラーコラム

2017-02-08【10代へ贈る】

部屋を片づけられない心理
 わたしは小学生~高校生の頃まで自分の部屋をひどく汚すという子どもでした。
 もう手をつけられないと観念した当時の私はカウンセリングを受けることにしました。
 当時私の学校にはスクールカウンセラーの先生がいて、予約を取ると1時間じっくりと話を聞いてもらえるという制度があり、周りからどう思われるかを心配しつつ勇気を振り絞って予約を取ったことを覚えています。
 それまでは部屋が汚いことを『自分はだらしないから部屋を汚してしまうのだ』位にしかとらえていなかったのですが、カウンセリングで話を聞いて整理してもらうことで様々なことがわかってきました。

 私の父も元々片付けをしない人で、部屋は私以上に物が散乱させており、それでも私には「片付けをしなさい」と言って叱る人だったのです。
 そこで、私が問題と思っていたことは「部屋が汚いこと」よりも「父から叱られること」の方が大きかったことをカウンセラーの先生から指摘をされました。
 そして、もうひとつ指摘されたのは私は口では父親を嫌いと言っていたのに、叱られれば叱られるほど片付けができないことは、『父親から叱られることでかまってもらえる』という私の潜在意識が働いているということ(これは当時は全く受け入れられませんでしたが、今となってはそうだったなと納得しています)
 
 
 当時私の家庭では、家族の関心はほとんど妹に注がれていました。
 高校生になっても親とはなにかしらの接点をもちたかったようで、そんな時私は無意識的に『部屋を汚くすると父親からかまってもらえる』ということを学習していたことがわかりました。

 その後のカウンセリングで、本当は父との関係をどう構築していきたいのか、自分はどう思っているのかということを少しずつ少しずつ話せたことで、自分の本心に気付き部屋の片づけができるようになっていきました。

 一人暮らしをしたところ、頭の中がクリアになったようで更に片付けは継続して行えるようになりました。
 もう、部屋を汚すことでかまってもらうことができないので、部屋を汚くして自分が不快な思いをする必要がなくなったということだったと解釈しております。

 思わぬところに片付けができない原因があったのだと、人間の心理の面白さに興味をもつきっかけとなりました。

 私の体験談はほんの一例ですが、自分の中でどうしてもやりたいのにできないことがある場合、自分では気づくことのできない意外な理由があることも考えられます。

 それに気づいたらあとは『今の自分にとって本当に必要なことは何か』『本心ではどう感じているのか』ということが大事だと思います。

 そしてもっと大事なのは、それを安心できる存在に話すこと。
 一人で考えるとわからないことも。新しい視点や気付きが得られる場合もありますよ。

 あの当時勇気を振り絞ってよかったなーとすっきりした気持ちで、気に入った椅子とテーブルにてこのコラムを書いています。
メンタルヘルスマネジメント
JLC心理カウンセラー1級
ピアカウンセリング