カウンセラーコラム

2014-01-04【仕事】

老いの勉強 その2
新年明けましておめでとうございます。
皆さんにとって心身ともに健康な年が送れます事をお祈りいたします。

さて、今回は「介護」という現場で働くことを受け入れていくには様々な葛藤がありました。
まだまだ発展途上にある私ですが、「理想と現実」の間で葛藤する様を書いてみたいと思います。

私は元パティシエです。
今でもその仕事に対する情熱は残っているのですが、
それにも増して人間対人間の、しかも人生の最後を迎えるかもしれない現場での仕事に
しんどいながらも何とも言えない奥の深さを感じるようになりました。

パティシエ時代の初期、若い時は仕事に対するやりがいなど持てなかった私ですが、
結婚をし、子育てを経験し、夫が亡くなってからの40歳の時に
初めて「やればできる」ことを実感したのです。
遅いですかね?やっぱり…でも事実、それまでの私は「自分なんてどうせ…」と思っていたので(笑)

おばちゃんパティシエはその仕事を初めて「楽しいぞ」「やりがいだ」「天職だ」と感じることが出来たのです。
諦めずにチャレンジし続けることで「やればできる」ことが増え、物を作り上げることの喜びを感じたからです。

理想のものを作り上げることで「やればできる」という自信を手に入れることが出来ました。

ところが介護の現場では、私がどんなに親身になって関わっても期待したものは返ってこない。
私一人が理想を掲げても相手の患者さんには届かない、私一人で「やればできる」問題ではないことが分かりました。

人間を、しかも人生の終盤を迎え何らかの疾患を持ったお年寄りの方々を相手にする仕事の難しさを痛感したのです。

今回は仕事の対象が「物」ではなく「人間」なんですね。
こちらの理屈は受け付けない、自分の世界にどっぷり浸かった、病気なのか人間性なのか…と頭をひねるご老人なのです。

特に認知症の方はこちらの話は全く聞いてくれません。一日中自分の主張を大声で張り上げています。
そう、まるで小さい子供が駄々をこねるように、お母さんが聞いてくれるまで繰り返し叫ぶ光景と同じです。

イライラしたり、腹が立ったり、悲しくなったり、とにかくしんどいのです(泣)

病院というところは決められたルールを患者さんたちが同じように守らなければなりません。
一人ひとりの患者さんに別々のケアはできないのです。(医療行為は別ですが)
一日中誰かの車いすを押すことはできない、皆平等に、ある程度同じ時間におむつを換え
同じ時間に食事をして、決められた曜日に順番にお風呂に入れてあげることが決まっています。

私たちスタッフはそれ以外の仕事もあり、常に患者さんと向き合っているわけにもいかない。
という職場だったのです。

私の理想は、もっと一人ひとりの方と向き合ってお話をしたり、お手伝いをしたり…
人と人との関わりにやりがいを持ちたかったのですが、それは崩れ去りました。
「ここは私が働きたかったところじゃない」と感じていました。

そんな理想と現実が大きく違っていることに気が付いたものの、日々関わることでこの患者さんたちから教えられることがあって
「老い」について深く考える自分に直面したのです。


次回は「患者さんから教えられたこと」を中心に綴りたいと思います。

株式会社JPA 電話カウンセラー養成講座 修了
        上級心理カウンセラー養成講座 修了
JPA公認カウンセラー

調理師免許
ホームヘルパー2級