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カウンセラーコラム
2014-02-22【仕事】
老いの勉強 その3
今回は介護現場で理想を打ち砕かれ途方に暮れる中、
患者さんたちから学んだことの大きさに、気がついた自分について書いてみたいと思います。
リハビリテーションを主とした病院でありながら、いろいろな患者さんを受け入れていかなければ成り立って行かない状況があるとはいえ、
患者さんからの暴言暴力などの行為に耐えながら自己学習で理解を深め接しているのです。
お風呂が嫌いな方に入ってもらうのは至難の業です!最初から最後まで罵詈雑言を浴びせられます。(泣)
時に言い返したりしてしまうと、火に油を注ぐだけで身も心も疲れ果てます…
やる気は一気にそがれ「もう辞めたい!」と言う気持ちしか残りません。
行動があまりにひどければ薬剤で管理されることもあり、そんな姿をみていると何とも言えない気持ちになります。
病気なのだから迷惑行為があっても仕方がなく、そこに私たちスタッフが感情を露わにしてもどうにもならない。
仕事と割り切って受け流すしかない。
その方のためにと言うよりは、自分が仕事を全うできるためのことを考えようと決めました。
また、妄想の世界で過ごしている方は常に見えない誰かと会話していて、その人が来ているから「ご飯は食べない」「お風呂には入らない」という主張が始まります。
初めは誰もいませんよと反論したこともあったのですが、認知症の方は否定すると余計悪化することになると知ったので「受け入れる」ことをしてみました。
目に見えない訪問者は身内のどういう方なのか、お名前などお聞きして実際はいないけれど、この患者さんの世界の中にお邪魔して「存在する」と受け止める。
上手く合わせたり、はぐらかしたりしながら食事や入浴へと促していくことを覚えました。
現実と妄想を行ったり来たりしている患者さんは、その方が納得いくように説明すると分かってくれることもあります。
こちらが無意識で関わるとよく叩かれたり蹴られたりしたのですが、出勤時に挨拶をすると「あんた、今来たんか?」と一応覚えてくれているようで、
「お茶どうぞ」と差し出すと「おおきに」、オムツを換えると「ごめんな」と言ってくれるまでになりました。
それでも点滴を無理やりはずしてベッドから這い出てきたりするので、
「苦痛ですよね、でもこれさえ我慢したらまた車いすで動けるから頑張って!」と声をかけます。
理解度は低いけれど、こんなことの繰り返しをするしかないのです。
ある時、午後の日差しがまぶしい窓辺で空を見上げていた患者さんに「いいお天気ですよね。きれいな青空ですね」と声をかけました。
するとその方は、「あれは海よね」とおっしゃる。
「ええっ!?」と絶句する私。
なぜ海?いやいや、見上げとるがな!!空やで空!!と思いながらも、
「じゃあ、あの白い塊は何ですかね?私には空にある雲に見えるんですけど?」と聞いてみました。
すると、「ああ、あれは波よね。海で波がたつと白くなるじゃない」とおっしゃいました。
なるほど。
確かに「青い海に白い波」と見えることもあるかも、と感じました。
「そうですか~○○さんにはそう見えてるんですね~」という会話をしたのです。
なんだかこの仕事はカウンセリングに似ているかも、と感じます。
クライアントはどんなお話をされるかわからない。
どんな世界で過ごし、どんな認知で、どんな行動をとっているのかわからない。
ひとまずはそんなクライアントを受け止めてひとつひとつ聞いていくしかないのです。
否定するよりまずは受け止める。そんな訓練のためにあるのかなと感じるのです。
苦痛でしかなった仕事が、一緒に頑張る仲間がいること、自分はどんなスタンスで関わるのかを意識出来たことで捉え方が変わってきました。
受け止めたあとは、受け流すことや自分が出来ることには限界があることも知りました。
患者やクライアントのために私がどうにかしてあげなければと考えるよりは、自分がどんな関わりを出来るのかを考える方が重要だと気付きました。
同時に、私がわざわざここで働くことにこんな意味があってのことだったのか、と感じる自分を「成長できたんだな」とさえ思います。
「えらいぞ、自分!」と褒めてあげます。なでなで(笑)
次回はまとめとして、自分の人生の終わり方について考える姿お伝えしたいと思います。
長谷川 さとみ
株式会社JPA 電話カウンセラー養成講座 修了
上級心理カウンセラー養成講座 修了
JPA公認カウンセラー
調理師免許
ホームヘルパー2級
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